生前整理公開: 2026年7月26日

生前整理は何から?元気なうちに進めるチェックリスト20

「生前整理を始めたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」——そう感じて、つい後回しにしてしまう方は少なくありません。モノもお金もデジタルも、対象が幅広いだけに、どこから触ればいいのか迷ってしまうのは自然なことです。けれど実際に始めてみると、生前整理は「捨てる作業」ではなく、これからの暮らしを軽やかにするための「選ぶ作業」だと気づきます。

この記事では、元気なうちに無理なく進めるやり方と、そのまま使えるチェックリスト20項目を、モノ・お金・デジタル・気持ちの4つの領域に分けて紹介します。全部を一度に終わらせる必要はありません。気になった項目からひとつずつ、心地よいペースで進めていきましょう。

読みながら、少しずつ整える

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生前整理とは——遺品整理との違い

生前整理とよく似た言葉に「遺品整理」があります。遺品整理は、本人が亡くなった後にご家族が行うもの。一方の生前整理は、本人が元気なうちに、自分の意思で身のまわりを整えていくものです。

この違いは大きなポイントです。自分で進める生前整理なら、「これは残したい」「これは誰かに譲りたい」という気持ちを、自分の言葉で反映できます。思い出の品ひとつをとっても、どんな経緯で手元にあり、どんな意味を持つのかは本人がいちばんよく知っています。元気なうちに向き合うからこそ、モノにも情報にも自分らしい区切りをつけられるのです。

始める年齢に決まりはありません。近年は、子どもの独立や定年といった生活の節目をきっかけに、40代・50代から少しずつ取りかかる方も増えています。体力にも判断力にも余裕がある時期ほど、じっくり選びながら進められます。生前整理は、身のまわりを身軽にすると同時に、これからの時間を心地よく過ごすための、前向きな準備でもあるのです。

進め方の大枠——小さく始めて、決めていく

始める前に、進め方のコツを3つだけ押さえておきましょう。

小さく始める。 いきなり家全体を片づけようとすると、その大きさに圧倒されて手が止まります。引き出し1つ、棚1段など、30分で終わる範囲から始めれば十分です。

1日1カテゴリ。 衣類の日、書類の日、写真の日、とテーマを分けて進めます。あれもこれもと同時に広げないことが、続けるいちばんのコツです。

捨てるより「決める」。 生前整理の本質は、捨てることではなく「残す・譲る・手放す」を選ぶことにあります。判断すること自体が成果なので、無理に処分しなくても構いません。決めた結果として、自然とモノは軽くなっていきます。

元気なうちに進めるチェックリスト20

ここからは、生前整理を4つの領域に分けたチェックリストです。A.モノ、B.お金と契約、C.デジタル、D.気持ちと情報の順に並んでいますが、上から順にやる必要はありません。目に見える成果が欲しい方はモノから、頭がすっきりしている日にはお金やデジタルから、というように、その日の気分に合わせて選んで構いません。気になったところ、取りかかりやすいところから始めてください。

A. モノを整える

1. 衣類 クローゼットは成果が見えやすく、最初の一歩に向いています。まずは1年着ていない服を「残す・譲る」に分けるところから。

2. 書類 契約書、保証書、行政の通知などを種類ごとにまとめます。まずは1か所に集めるだけでも、全体像が見えてきます。

3. 写真 アルバムやプリント写真は、思い出をたどりながらお気に入りを選ぶ時間に。全部残そうとせず「この一枚」を選ぶ気持ちで。

4. 思い出の品 手紙や記念品など、心が動くものは無理に減らさなくて大丈夫です。生前整理の目的は量を減らすことではなく、本当に大切なものを選び直すこと。「残す」と決めた箱を1つ用意すると、それだけで気持ちが整います。

5. 大型家具・家電 使っていない家具や古い家電は、暮らしの動線を軽くします。まずは「今後使うか」を一つずつ確認するところから。

B. お金と契約を整える

6. 口座の棚卸し 使っている銀行口座を書き出します。使っていない口座に気づけるだけでも、管理がぐっと楽になります。

7. 保険 加入している保険の種類と連絡先を一覧に。内容を思い出せない保険があれば、証券を1か所にまとめておきましょう。

8. サブスク 動画配信や定期購入など、毎月の自動支払いを見直します。契約したまま忘れているサービスは意外と多いもの。使っていないものを1つ解約するだけでも、家計も気持ちも身軽になります。

9. 借入・貸付 ローンや、人に貸しているお金があれば書き留めておきます。プラスもマイナスも、見える形にしておくと安心です。

10. 年金 受け取っている、または受け取る予定の年金の種類を確認します。ねんきん定期便などを手元にまとめておくと分かりやすくなります。

C. デジタルを整える

11. スマホ ロック解除の方法や、日常的に使うアプリを把握しておきます。まずは主要な連絡・決済アプリを書き出すところから。

12. パスワード 増えがちなIDとパスワードを一覧にします。デジタルの情報は本人にしか分からないことが多く、まとめておく価値が高い項目です。紙でもアプリでも、自分が管理しやすい方法で1か所にまとめておきましょう。

13. SNS 使っているSNSのアカウントを書き出します。どうしたいか(残す・整理する)の希望も添えておくと、後から見返しやすくなります。

14. 写真データ スマホやクラウドに眠る写真データも整理の対象です。まずは保存場所(本体・クラウド)を確認するところから始めます。

15. ネット銀行・証券 通帳のないネット口座は見落とされがちです。利用しているサービス名だけでも書き留めておくと安心です。

D. 気持ちと情報を整える

16. 連絡先リスト 大切な人の連絡先を一覧にまとめます。いざというときの連絡がスムーズになり、自分自身も安心できます。

17. 医療・介護の希望 どんなケアを望むか、思うところを言葉にしておきます。気持ちは時とともに変わっていくものなので、今の考えを書き留めておき、折にふれて見直すくらいの気軽さで大丈夫です。

18. 葬儀の希望 形式や規模など、希望があれば書いておきます。決めきれなくても「考えたことがある」だけで、周囲の助けになります。

19. 大切な人へのメッセージ 感謝や伝えたい言葉を、短くても残しておきます。整理の中でいちばん心が温まる項目かもしれません。

20. エンディングノートにまとめる 1〜19で整理した内容を、一か所に集約します。ノートやアプリにまとめると、これまでの成果がはっきり形になります。

20項目一覧サマリ

# カテゴリ 項目 最初の一歩
1 A. モノ 衣類 1年着ていない服を仕分け
2 A. モノ 書類 種類ごとに1か所へ集める
3 A. モノ 写真 お気に入りの一枚を選ぶ
4 A. モノ 思い出の品 「残す」箱を1つ用意
5 A. モノ 大型家具・家電 今後使うか一つずつ確認
6 B. お金 口座の棚卸し 使っている口座を書き出す
7 B. お金 保険 証券を1か所にまとめる
8 B. お金 サブスク 使っていないものを1つ解約
9 B. お金 借入・貸付 貸し借りを書き留める
10 B. お金 年金 定期便をまとめておく
11 C. デジタル スマホ 主要アプリを書き出す
12 C. デジタル パスワード ID一覧を1か所に
13 C. デジタル SNS アカウントと希望を記録
14 C. デジタル 写真データ 保存場所を確認
15 C. デジタル ネット銀行・証券 サービス名を書き留める
16 D. 気持ち 連絡先リスト 大切な人を一覧に
17 D. 気持ち 医療・介護の希望 今の気持ちを言葉に
18 D. 気持ち 葬儀の希望 希望を書いておく
19 D. 気持ち メッセージ 感謝を短く残す
20 D. 気持ち エンディングノート 1〜19を集約する

整理した内容は、エンディングノートにまとめておくと、成果が一冊の形になって残ります。お金まわりを整えるときは、老後資金+終活費用シミュレーターで、これからの暮らしにかかるお金の見通しを立ててみるのもおすすめです。

挫折しないための3つのコツ

完璧を目指さない。 すべてを一度に終わらせる必要はありません。20項目のうち1つでも進めば、それは立派な前進です。今日できたことに目を向けましょう。

家族と一緒に。 写真や思い出の品は、家族と一緒に見返すと会話が生まれます。一人で抱え込まず、楽しい時間として共有すると、整理そのものが心地よくなります。

季節の節目に。 年末年始、誕生日、大掃除の時期など、区切りのタイミングに少しずつ進めると習慣になります。一度で終わらせるのではなく、暮らしの一部として続けていくイメージです。年に一度、内容を見直す日を決めておくと、情報も気持ちも新鮮に保てます。

生前整理は、身のまわりを身軽にしながら、これからの時間を自分らしく整えていく営みです。今日、引き出しをひとつ開けてみる。それだけでも立派な第一歩です。焦らず、心地よいペースで、できるところから始めてみてください。整えた先には、きっと、これからをもっと軽やかに過ごせる自分が待っています。

なお、相続・贈与など法律に関わる判断が必要な項目は、自己判断せず司法書士・税理士・弁護士や自治体の相談窓口など専門家にご相談ください。

よくある質問

Q.生前整理は何歳から始めればいいですか?
決まった年齢はありません。体力も判断力も充実している時期ほど選びやすいので、40代・50代で少しずつ始める方も増えています。定年、子どもの独立、還暦など、生活の節目をきっかけにすると自然に取りかかれます。
Q.生前整理と遺品整理は何が違いますか?
遺品整理は本人が亡くなった後にご家族が行うものですが、生前整理は本人が元気なうちに自分の意思で進めるものです。何を残し何を手放すかを自分で決められる点が、生前整理のいちばんの魅力です。
Q.何から手をつければ挫折しませんか?
一度に全部やろうとせず、まずは1日1カテゴリ、引き出し1つ分から始めるのがおすすめです。捨てることより「これは残す・これは譲る」と決めることを目的にすると、気持ちよく前に進めます。
Q.エンディングノートは必要ですか?
必須ではありませんが、連絡先や希望、大切な情報を一か所にまとめておくと、整理した内容が形として残ります。市販のノートやデジタルのサービスなど、続けやすいものを選べば十分です。

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